昼間でも半分以上の部屋が稼働
そのホテルは駅チカの5階建てで、夜になるとギラギラしたネオンに包まれる、30年以上営業しているホテルだ。もちろん、中に入ったことは一度もない。
指定された時刻は14時。勇んで来たものの、ホテルの10メートルくらい手前でハタと立ち止まる。「小学校のPTA役員も務める、真面目で清楚なお母さん(本人談)」がウリの筆者が、ラブホに入っていく姿を誰かに見られたら、イメージが崩壊するではないか。
「最近、運動不足なんで、お掃除のバイトを探していたら、ここを見つけてぇ」
よし、これだ。明るく話せば、職業に貴賤などない。
従業員用のドアを思い切って開けると、メイクもネイルもバッチリとキメた艶っぽい50代くらいの女性に、控室に案内された。彼女はホテルの支配人だという。
「コロナの影響で、最近は早い時間のお客様が多いんです。もちろん深夜も営業していますが、遅い時間の利用を控える方が増えていて……」
支配人は話しながら、部屋の空き状況を知らせるモニターにチラチラと目をやる。モニターには全30室の部屋番号が表示されていて、半分以上の部屋が「休憩」で埋まっていた。真っ昼間だというのに、なかなかの盛況ぶりだ。
説明を受けた後、ブルーやピンクの照明できらめく廊下を通り、清掃中の部屋に案内された。