乱れた部屋を15分で原状回復

　客が退出すると、従業員室にある部屋番号のランプが消える。それを合図に、駐車場のカメラで客の車が出て行ったのを確認し、タオル・バスローブ・シーツなどをワンセットにしたものと、洗剤などの掃除道具が詰め込まれたバスケットを持って、一人で部屋に乗り込むのだ。

　タバコの吸い殻、乱れたベッド、水浸しのシャワー室を、10～15分程度で「原状回復」しなければならない。

「この副業を始めてから、掃除が得意になりました。コロコロを素早くはがすコツや、風呂掃除を手早くやる方法を教えてもらって、自宅でも役に立っています。妻には正直に話していますよ。ナイショにしていたら、誰かに見られた時に怪しいじゃないですか（笑）」

　Pさんに悲壮感はまったくない。働く人は中高年が多く、男女比は半々くらいだという。

「お客の半分以上はデリヘル利用じゃないですかね。デリヘルの送迎車はホテルの駐車場に入らずに、近隣に駐車して待っていますから」

　おじさんの道楽を、おじさんが面白がっている。

　楽しそうに話すPさんの話を聞いていたら、俄然、興味がわいてきた。筆者は都内の自宅から徒歩圏内の住宅街にある、時給1050円のラブホ清掃のアルバイト体験に応募してみた。