まるで恋文、2人の世界
「あなたという人がいないのに、時は過ぎる。無情にも過ぎていくことに、私は、いまだに、許せないものを覚えます」
字面だけみると、まさに恋文に近い。
あなた。
菅氏は弔辞で安倍元首相のことを何度も親しみを込めて「あなた」と繰り返す。官房長官は女房役といわれるが、妻が最愛の夫を「あなた」と呼ぶ世界と近い。菅氏に近い三原じゅん子参院議員は「まるで恋文」とツイッターに書き込んだ。
弔辞の途中から、菅氏は安倍元首相のことを「総理」と表現し始める。菅氏は、官房長官時代、安倍元首相の前では必ず「総理」と呼んだ。いや、本人のいない場所でも「総理」と呼び続けた。自分が首相になってからもなお、菅氏にとっての「総理」といえば安倍元首相のことであり、自分が周囲から「総理」と呼ばれることに馴染めなかった。
