国によっては女性の権利・自由も広がっているが

 イスラム教の始まりは7世紀の初め頃。アッラーを唯一神とし、開祖ムハンマドが神の言葉を伝えたという。私達も知っている教えとしては、豚は食うな、酒を飲むな、女性は髪と肌を露出するな、というところだが、それらも含めて生活の規範としての戒律が厳しく定められているのは周知の通りであ。また、その一方、弱者に優しい宗教ともいわれる。

 そもそもイスラム教が誕生した時代、度重なる戦火でアラビア半島は混沌としていた。そうなると女性には危険がいっぱいだ。そんな女性を男の目から守るために聖典「コーラン」には「女性は美しさを隠し、目線を下げて慎ましく振舞うように」という定めがあるのだという。また、戦争未亡人の救済のために「一夫多妻」が認められたとも言われている。

 つまり、女性を「弱き者」と捉えているのがイスラム教なのだ。

 その一方で、女性の美しさが常に男を惑わせてきたとも考えられている。中でも女性の美しい髪は男の関心を引くようだ。

 余談だが、タンザニア(イスラム教が多い)に住んでいた日本人女性のFさん(26)はこう話した。

「タンザニアの男どもは異国女性に対するセクハラ的な関心があまりにも強いので、面倒臭くなって坊主頭にしたら視線がピタリと止んだわ」

 やはり女性の髪は男を惑わせるのか。

(写真:橋本 昇)
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 しかし、イスラム創世期はともかくとしても、その後、時代は移り、神の言葉としての「コーラン」の解釈も地域によって様々に変化していった。それに伴ってイスラム社会における女性の権利や自由も拡がっていった。ただ部族社会の古い慣習とイスラム教が結びついた地域の中には現代でも女性の権利を制約しているところがある。タリバンはまさにアフガニスタン農村部のそんな部族社会から生まれた。

 タリバンは、女性の理想像を、いや、イスラム社会のあらゆる理想を、7世紀のイスラム創生期に求めているようだ。つまりは「男の社会」ということだ。