(写真:橋本 昇)
拡大画像表示

(フォトグラファー:橋本 昇)

 社会の中で「ジェンダー平等」が強く叫ばれるようになってきた。西側諸国の様子を見ていると、一瞬それが世界標準のように思うこともあるが、もちろんそうではない。むしろ明らかに逆行している地域もある。例えばタリバンが事実上政権を掌握しているアフガニスタンだ。

 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは7月27日、タリバン暫定政権発足後、女性の生活が破壊されていると発表。タリバン政権に抗議した女性に対する暴力が横行し、またタリバン構成員と結婚を強要される少女や、経済危機のため親の了承の元で年の離れた男性と「児童婚」せざるを得ない少女が増えているという。アムネスティ・インターナショナルが接触した女性は、13歳の娘を近所の30歳の男性と670ドル(およそ9万2000円)で結婚させたと証言しているという。

 またコーヒーショップから男の子と一緒に出てきただけで、女の子が逮捕される案件も増えているという。

 それくらいに、現在のアフガニスタンでは「イスラム教」により「女性」が抑圧されている。

懸念が的中、女子の中等教育がストップ

 1990年代後半までタリバン支配下にあったアフガニスタンでは、「女性は服装についても顔や体を出してはいけない」と厳しく規定され、教育を受けることも禁止されていた。

 だが2001年末、米軍などの空爆によりタリバン政権が崩壊、その後に樹立された暫定政権、さらにその後のカルザイ政権下では、女子教育が飛躍的に拡大した。

 ところが昨年8月にアフガニスタンに駐留していた米軍が撤退するとタリバン政権が復活。人々は「またあの時代に戻るのでは?」と、懸念を通り越して怖れを抱いたが、当時、メディアからの質問を受けたタリバン広報官は「女性の権利についてはイスラム法範囲内で尊重する」と含みを持たせた言い方をしていた。

 だが「やはり」というべきか、その後、女子の中等教育は再開されていない。今年の3月に再開される予定だった女子の中等教育が土壇場で中止になった理由は表向きには「女子の服装の規定が決まっていないから」と発表されたのだが、実際のところはタリバン内部の意見がまとまらなかった事が原因のようだ。依然としてタリバン内部には女子教育に反対する強硬派が存在している。