(写真:kawamura_lucy/イメージマート)

(フォトグラファー:橋本 昇)

変わる靖国の風景

 8月15日、6年振りに訪れた終戦記念日の靖国神社。時の流れと共に訪れる人々の様相も変化していた。

 以前の靖国神社の8月15日と言えば、まるでお祭りと喧嘩がもつれ合うような騒動が神社のあちらこちらで繰り広げられ、取材する身としてはレンズを向けるのに息つく暇もない状況だった。

「八紘一宇」「七生報国」といったかつての軍国主義時代に叫ばれた熟語が神社内を飛び交い、年老いた旧軍の兵士たちが凛とした姿で行進している。戦地に持って行ったのであろう“武運長久”の寄せ書きがされた年代物の国旗。

武運長久の日ノ丸を開いて祈る。旗には出征兵士への願いが込められていた。(写真:橋本 昇)
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 そこらじゅうから激しく議論する声や罵声も聞こえてきた。「聖戦だ」「鬼畜米英から解放する戦いだった」。そして「チャンコロ」や「三国人」といった差別的な蔑称があからさまに神社内に零れ落ちていた。

旧海軍兵士。もうこの姿は今では見られない。2010年8月15日撮影(写真:橋本 昇)
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 神社の入り口では反戦デモ隊が右翼団体と大騒ぎだ。

 だが、今の靖国神社は神社本来の静かな祈りの場という姿を取り戻していた。