ほとんど見かけなくなった元兵士たち
参拝の列には40代・50代の家族連れが目立つ。戦争は彼らの祖父・祖母の時代だ。
参拝を終えた短いパンツ姿の若い女性に声をかけた。
「今日はどんな想いで参拝にこられたんですか」
「私は自衛官なんです。朝霞駐屯地に勤務して8年になります。今日は自分の国を守るという気持ちを新たにしたいと思って来ました」
と、彼女はカラッと答えた。
佐藤友江さんという年配の女性と暫らく話をした。佐藤さんは3歳の時に父親を亡くした。
「父はビルマのインパール作戦で戦死しました。恐らく食べ物がなくて餓死したのではないでしょうか。弟は父の出征時、まだ母のお腹の中でした。父はビルマの密林で私達の事を想ってどんな気持ちで死んで行ったのでしょうね」
そして
「あの太平洋戦争は間違った戦争なんでしょうかね……」
と呟きながら暫らく黙りこみ、「お元気で」という言葉を残してゆっくりと鳥居をくぐって行った。
その横をネオナチを自称する右翼団体が整列して静かに進んでいく。