根強い同性愛規制で感染が地下に潜るリスク

 男性同性愛への偏見も大きな課題になり得る。

 例えば、サル痘が報告されているシンガポールでは、男性同性愛者の性行為は違法である。もっとも、シンガポールでは、男性間の性交渉を違法とする条文は実質的に無効で、国会で法律を改正すべきだと裁判所が指摘しており、処罰されることがなくなっている。とはいえ、違法ではあることには変わりなく、表に出づらい問題であるのは確かだ。

 一方で男性間性交渉が厳罰になる国もある。ブルネイ、インドやサウジアラビア、東ティモールなどが該当するとみられるが、既にインドやサウジアラビアでもサル痘は報告されている。こうした国々ではサル痘感染が男性間性交渉と関係した場合に発見が困難になる恐れがある。サル痘感染者が潜在化する恐れがあり、厄介な問題になるかもしれない。

【解説、シンガポール市中感染とWHO2回目の緊急委員会】(https://youtu.be/0eDJwo1VRA8

 LGBTやゲイパレードなどの性指向をテーマにしたイベントは、今後も感染を広げるきっかけになる可能性がある。

 例えば、性別や性的指向を超え、特定の性指向である「フェティッシュ」をテーマにして行われるイベントで、男性同性愛者に閉じない交流が広がる可能性があるという。タロウさんは、女性や異性愛者に感染が広がる可能性もあると指摘する。

 男性同性愛者の中で感染者をとどめて、流行を終結させられるかが問われるわけだ。

 仮に男性同性愛者以外にも感染が広がり、特に子どもや妊婦、免疫不全の患者にサル痘の感染が広がる可能性には警戒しないとならない。7月22日までに、米国やオランダでは既に子どもの感染が報告された。幸い重症化していないようだが、その感染の広がりには注意が必要になるだろう。

 日本では厚生労働省が全国の医療機関に疑わしい患者を見つけた場合には保健所に届けるよう通知を出している。欧米での感染の実態を踏まえて、対応をしていくのは重要だ。