性指向を回答した感染者のほぼ100％がゲイという事実

　例えば、この7月にドイツの研究者がサル痘感染者512人を分析した論文では、報告された感染者の全員が男性で、性指向を回答した260人中259人とほぼ100％は「男性と性交渉をするゲイ」であると答えている。未回答の人にも男性同性愛者は含まれると見られ、感染者の大部分が男性同性愛者であると推定された。

　同じ7月にスペインの研究者も595人を分析したが、詳細な情報が分かった508人中503人が男性であり、8割近くが症状が現れるまでの21日以内に男性と性交渉をしたと答えていた。スペインでも圧倒的多数が男性同性愛者であると見られた。

　発疹のでき方も、男性同性愛者の感染者においては顔ではなく肛門や性器に発疹が現れた。肛門性交などの性交渉と関係するとされる。

　もっとも、病原性については、欧米など新たに流行している地域では死亡者がおらず、アフリカで報告されていたよりも危険性が低い。成人男性の間で人から人へと感染が広がっていることも含め、複数の点でもこれまでのサル痘とは大きく異なっている。

　そんな折、筆者の発信する動画を閲覧した英国在住の日本人で、男性同性愛者である男性から現地についての情報が寄せられた。匿名を条件に引用も可能ということで、タロウさん（仮名）の言葉を借りながら、男性同性愛者の間で急速にサル痘が広がった素地を見ていく。