アフリカのサル痘とアフリカ以外のサル痘に見られる違い

 おさらいすると、簡単に言えば、サル痘とは発熱やだるさを伴う、全身に発疹を作るウイルス感染症である。サル痘の発疹は固く、中央部分に膿を持つのが特徴とされる。もとの流行地であるアフリカでは、発疹はまず顔に表れる。

 サル痘の致死率は3~6%と、天然痘の3〜5割に比べれば低いものの、死につながる病気と問題視されてきた。主要な感染ルートは動物からの感染で、人から人への感染はまれだ。感染者の多くが15歳未満と報告されている。

 1990年代以降、コンゴ民主共和国で流行が続いており、さらに2017年からは39年ぶりにナイジェリアで流行が発生した。それが、コロナ明けの2022年に欧州をきっかけに世界に広がった。そのあたりの経緯は動画にしているので参照してほしい。

【世界同時発生の背景にある異変】(https://youtu.be/POltlSdBGWY

 ところが、最近サル痘が流行している欧州や米国などでは、従来知られているサル痘とは症状や感染者のバックグラウンドに違いがある。筆者がデータを追う中で驚いたのは、今年6~7月にかけて報告された論文で見られた、「誰が感染したか」の中身だった。

 というのも、想像を超えて男性同性愛者が圧倒的大多数を占めていることが明らかにされていたからである。早いうちからサル痘の感染者には男性同性愛者が多いと指摘されていた。ただ、男性同性愛者が多いといっても、限度もあるだろうと推測していたので意外な印象を受けたのだ。