「鎌倉殿の13人」はサラリーマンの悲哀の物語

 報酬のうち、マッチングサイトが仲介料として30~50%程度を取る。だからビデオ通話で1時間当たり3万円の報酬の場合も、結局手取りは1~2万円くらいになる。

「1時間話して小遣いもらうだけ。それでおしまい。全然儲からないし、面白くない。自分のコンサルが役に立っているような感じも全くない」

 Kさんは副業にも、うんざりしているようだった。

 さて、Kさんにとって憂鬱な季節がやってきた。リストラ候補のリストアップ作業が、毎年7月ごろに行われるからだ。

 リストラ候補を決めるのは、Kさんのような部門ごとの管理職。人事は「今回は○割リストラしろ、40代は○人、50代は○人、管理職は○%」という指標だけを示すそうだ。

「『この指標は絶対ではないが、指標を満たしているかは人事に報告される』と釘を刺されるから、従わざるを得ない。だから、今の季節は本当に憂鬱」

 Kさんは、最後までイヤだイヤだとぼやいていた。

「鎌倉殿の13人」は組織に翻弄される、サラリーマンの悲哀が描かれているように思う。主人公の北条義時は、頼朝の命令に従い、ためらいながらも佐藤浩市さん演じる上総広常や菅田将暉さん演じる源義経を切り捨てていった。

 義時はこれから、家族を含めた周りの人間を次々とリストラし、最終的に権力を掌握する。脚本家の三谷幸喜氏は、すべてを切り捨てた義時の晩年をドラマの終盤でどのように描くのだろうか。