ロシアによるウクライナ侵攻はコロナ禍に続く2020年代の混乱第二幕だ。写真はキエフ近郊の町ボロディアンカ(写真:Agencia EFE/アフロ)

(市岡 繁男:相場研究家)

2030年まで「幕末」に匹敵する混乱

 ロシアによるウクライナ侵攻が発生し、世界秩序のパラダイムシフトを指摘する声が聞かれるようになりました。

 筆者は、現在の世界は約80年ごとに政治経済が一変するパラダイムシフトに直面したとみています。

 1780年代のフランス革命(1789年)、米国独立戦争(1775年)、天明の大飢饉(1782年)、1860年代のイタリア統一(1861年)、ドイツ統一(1871年)、米国南北戦争(1861年)、明治維新(1868年)、そして1940年代の世界戦争がその区切りです。1860年代の変動では現在につながる近代国家が誕生し、先の大戦では旧体制が一掃されました。

 筆者は長らく、経済誌への寄稿や講演会などで「80年周期の大変動、次は2020年代」という標題の下、「2030年までの10年間は世界的規模で『幕末』に匹敵する混乱が起きる」と述べてきました。その始まりが疫病(コロナ禍)の蔓延だとは想定外でしたが、今回のウクライナ戦争で混乱の第二幕が開いたのでないでしょうか。

 過去の80年周期の変動を振り返ると共通項があります。いずれも物価の上昇を伴っていることです。

 1780年代は、日本では浅間山、欧州ではアイスランドのラキ山が噴火しました。その影響で冷害が発生し穀物価格が急騰、天明の大飢饉やフランス革命をもたらしたのです(図1)。


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 黒船来航のあった幕末の日本はどうだったのでしょうか。