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(英エコノミスト誌 2022年3月19日号)
交渉が行われているにもかかわらず、なかなか終わりが見えてこない。
「真珠湾を思い出してください」
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は米連邦議会にこう懇願した。
「(2001年)9月11日を思い出してください・・・ウクライナ各地の都市ではこの3週間、毎晩、ロシアが空を死の源に変えているのです」
ゼレンスキー氏が求めたのは憐憫(れんびん)の情ではなかった。飛行禁止区域を設定してほしい、それが無理なら武器を送ってほしいというのが大統領の望みだった。
2人の大統領の対照的なスピーチ
「私には夢があります。やらねばならないことがあります。私たちの国の空を守らねばならないのです」
地対空ミサイルの供与を要請するためにマーティン・ルーサー・キング・ジュニアを引き合いに出したのは、まず間違いなくゼレンスキー氏が初めてだろう。
ゼレンスキー氏が3月16日の演説を始める少し前、ロシアのテレビはウラジーミル・プーチン大統領の演説を放送していた。
ゼレンスキー氏がすべてのウクライナ人の名のもとに訴えたのに対し、プーチン氏はロシア人とロシア人を対立させた。
「第五列(スパイの意)と裏切り者は・・・(ロシア国民の)口のなかに飛び込んできた小さな虫のように」吐き出されると毒づいた。
そして聞き手が当惑するほどお馴染のファシスト的なレトリックを用い、そのような「クズ」を追い出してロシアを浄化する必要性を説いた。
「こうした自然かつ必要な社会の自浄作用は我が国とその結束を強くするばかりだと確信している」