乏しい戦果に対する高い代償
今のところ比較的乏しい成果しか上げていないことを考えると、これは高い代償だ。
ウクライナ東部では、ロシアは侵攻初日に攻め落とそうとして失敗した都市ハリコフの郊外で足止めされている。
ハリコフの北西に位置するスムイには、ぬかるみにはまって動けなくなったロシア軍戦車が点在している。ウクライナの春の雪解けが進むにつれ、ますます深刻になる問題だ。
ロシア軍部隊はウクライナの首都キエフの中心から北西に15~20キロ、そして東に20~30キロの地点にしっかり陣取っており、それ以外の首都郊外は破壊されている。
キエフ市街には、次々とロケットやミサイルが撃ち込まれている。
だが、こうした砲火に対し、ウクライナは反撃している。
キエフを取り囲むように塹壕(ざんごう)を掘って大砲を設置し、携行型のミサイル発射装置を配備している。
スーパーマーケットの棚は「品物であふれている」にはほど遠いが、食料は尽きていない。水道も電気もガスもまだ通っている。
そして国民の士気は高い。
「私はニワトリさえ1羽だって殺したことがない」。52歳の電気技師、ウラディスラフさんはこう言う。
聞けば、3月14日にテレビを見ていた時に、自宅のある地区にミサイルが飛んできたそうだ。「でも今は、あのプーチンのバカ野郎を殺してやりたい」。
ウクライナはキエフ南部につながる回廊を支配下に置いており、国内のほかの地方、そして世界とのつながりを維持できている。
その証拠に、3月15日にはチェコ、ポーランド、スロベニアの3カ国の首相がキエフを訪れた。