(ジャーナリスト:吉村剛史)
「弱い人は強い人にケンカを売るな」
SNSを駆使した日本における「言論戦」の担い手、中国駐大阪総領事館の薛剣総領事のツイートが、ロシア軍のウクライナ侵攻でも火を噴いた。
侵攻直後、「弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けない」(ママ)などと日本語でツイート。これが台湾や日本への威嚇を意図したものだとして、SNS上では日本語や中国語、英語で「外交官失格」などと猛烈な批判の集中砲火を浴びる結果に。
ただちに薛氏は「誤解」「曲解」などと釈明に追われたが、人が鶏を棒で打ち据えるネット上の動画をロシアとウクライナに例えた説明に、さらなる批判が集中。改めて外交官としての品格が問われる事態に発展している。
戦狼外交官の外交感覚
米軍のアフガニスタン撤収時、米軍機にしがみつき、上空からふりおとされるアフガニスタン人の姿を揶揄した人命軽視のツイートをしたり、国際人権団体が、国家安全維持法の施行で言論の自由が保障されなくなったとして香港における事務所閉鎖を決めた際には「害虫駆除」とつぶやいたりするなど、薛氏の過激発言はたびたび批判を浴びてきた。その不適切な発言ぶりを、一種の「芸風」と受けとめられるマニアックなファンも一部には存在するほどだが、ここへきて薛氏はその不謹慎さをさらに強くし始めている。
【参考】
・米軍機の人落下を揶揄の中国総領事、日本へほっこりツイのなぜ?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66605
・人権団体を「害虫」扱い、中国総領事の度を越した過激ツイの狙い
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67538
2月24日、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった直後、薛氏は、台湾の大手ラジオ局、中国広播(台北市)で会長を務める、最大野党・国民党の趙少康氏が、ウクライナ情勢を引き合いに中国を過度に刺激することへの懸念を示した発言動画に反応し、ツイッターにおいて日本語で「ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓」と題した投稿を行った。
<「弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けないこと!
仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ。」
これと関連で更に言えば、「人に唆されて、火中の栗を拾ってはいけないこと」だ>
*(外部配信サイト等で画像が見られない場合はJBpressサイトにてお読みください)