(ジャーナリスト 吉村 剛史)
中国が反政府武装勢力タリバンの政権掌握を容認し、これに協力する姿勢を示しているアフガニスタンの最新情勢。米軍の撤退を受けて米中対立の最前線に位置する台湾などでは衝撃が広がっているが、日本では意外なことに東京ではなく大阪が中国の「対日世論揺さぶり」の最前線となっているようだ。
その“プロパガンダ”が「あまりに非常識」と批判を浴びている。
批判を浴びているのは、知日派の前任トップがわずか在任10カ月で姿を消すなど“粛清人事”が疑われる駐大阪中国総領事館に、6月末に着任したばかりの新任総領事。自身のツイッターで、アフガニスタンの首都カブールの空港から脱出する米軍機から人が転落する様子を揶揄するような内容のツイートを発信していたのだ。台湾でもその異様さが注目され、「外交官としてあり得ない姿勢」「人命に対する感覚が麻痺しているとしか思えない」などと波紋が広がっている。
揶揄ツイートに「外交官としてあり得ない」の声
米国との覇権争いを演じ、強権的な「戦狼外交」を展開する習近平指導部。その中国を体現したかのような異様なツイートを発信していたのは、今年6月27日に大阪に着任したばかりの薛剣(せつけん)氏(53)だ。
問題となったツイートは、「20年かかって、アメリカはアフガンでこんな『成果』を挙げた」という内容で、向かい合う米機2機のイラストが配され、その片方には「2001年、アフガンに侵入した時」として爆撃機らしき航空機が爆弾を投下する様子を、もう一方には「2021年、アフガンから撤退する時」として輸送機らしき航空機から人間がバラバラと落ちる様子を表現していた。ツイートには「#アフガン」のハッシュタグも。
イラスト後段はカブールの空港で8月16日に起きた混乱により、離陸する米軍機にしがみついたアフガニスタン人が機から落下し、死亡した問題を揶揄していたとみられる。事実あわただしく離陸する米軍機から人が落下する映像などはSNS上で拡散され、国際社会のみならず米国内でもバイデン政権に対する批判が起きていた。