「自国民の保護」を主張しながら首都キエフまで

「自国民の保護」は、歴史的に見ても自国軍に国境を越えさせるための常套句だ。日本も例外ではない。日清戦争の発端となった朝鮮半島への派兵もそうであったし、南京事件と呼ばれるものも「自国民の保護」を目的として軍隊を進めたその先に起きたものだ。言い換えれば、前世紀に使い古された筋書きを再び使い回して戦争をはじめたことになる。

 ウクライナへの派兵に先立ち、日本時間の22日に行った演説でプーチンは、ウクライナとロシアとの関係について「ウクライナはレーニンとその同志がロシアの歴史的領土を切り離す方法でつくった」「歴史、文化、精神的空間の切り離しがたい一部だ」などと力説している。その歴史観に基づく言説は、ヒトラーが利用した民族主義、民族的ナショナリズムと変わらない。

 19世紀の汎ゲルマン主義(汎ドイツ主義)をナチスが継承したなら、ロシア革命で否定された汎スラブ主義(汎ロシア主義)を呼び覚まそうとしているのがプーチンと言っても過言ではない。まして、ウクライナを勢力圏に取り戻し、かつてのソ連の復活を目指す野望が背景にあるのであれば、まさしくヒトラーの再来である。歴史は前世紀に逆戻りしたようなものだ。