(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)
ロシアが侵攻を開始してしまいました。圧倒的に数的劣勢、ほとんど包囲された状態で先制されるという、軍事的にはあり得ないほど不利な状態で、ウクライナ軍はロシア軍を迎え撃つことになりました。
2月25日23時(日本時間)現在、その不利な状況を考慮すれば、ウクライナ軍は非常に善戦していると言えます。しかしながら多勢に無勢で、首都キーウ(キエフ:本稿ではウクライナ語の「キーウ」と記します)にもロシア兵が侵入している状況です。
戦況は刻々と変化していますが、現時点までのロシア軍の動きとウクライナ軍の対応を概括し、ここまでの戦闘推移の状況を分析したいと思います(ただし以下の分析は、現時点までに得られている不正確な情報をもとにしているため、誤っている可能性も大きいことをご了承ください)。
4方面から強力な打撃力を投入、緒戦の状況
ロシアの攻撃は、弾道ミサイルと巡航ミサイルの大量発射で始まりました。現代戦では極めて教科書的な攻撃です。これは、ウクライナ軍の指揮、通信関係の他、レーダーや飛行場などの防空施設破壊を意図したものでした。