力なき外交は無力である
ロシア軍によるウクライナ侵攻の懸念が高まっている。
ロシアはウクライナ侵攻の意図を否定し、部隊撤収の演出も始めたようだが、ウクライナとの国境付近に依然15万人を超える部隊を集結させ、軍事的緊張を高めている。
欧州安保協力機構(OSCE)のマイケル・カーペンター米国大使は2月18日、ウクライナ周辺に展開するロシア軍部隊について「1月30日時点では約10万人だったが、恐らく16万9000~19万人に達している」と述べた。
そして、「第2次大戦以来、欧州で最も大掛かりな軍事動員だ」と指摘した。
ロシアは北大西洋条約機構(NATO)不拡大要求では強硬姿勢を堅持している。
2月17日には安全保障に関するロシアの立場を記した回答を米国に提示したが、これに対する米国の回答によっては「軍事技術的な措置を含めて対応を余儀なくされる」と警告している。
軍事力による威嚇、恫喝で相手に自分の意図を無理やりのませる。相手が拒否すれば軍事力で決着をつける。
まさに「力の信奉者」が実施する「力による現状変更」の典型である。
これに対しジョー・バイデン米国大統領は、早々に軍事力という「力」を放棄し、経済制裁という一本足打法で立ち向かおうとしている。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は2月14日、「緊張の高まりを深く憂慮している」「今が緊張緩和の時だ」と述べ、「外交に代わるものはない」と対話を通じた軍事衝突回避を訴えた。