(山田敏弘・国際ジャーナリスト)
徳島県の拠点病院のひとつである、つるぎ町立半田病院がランサムウェア(身代金要求型ウイルス)に感染したのは、10月31日のことだった。
これを受けて、同病院はこんなメッセージをホームページに掲載した。
「電子カルテシステムの障害により、予約外患者さんの受け入れを中断しております。既に、ご予約をお取りの患者さんにつきましては、できる限りの対応をさせていただきます。なお、現在復旧の目途は立っておりません」
約8万5000人の電子カルテにアクセスできなくなったため、治療ができなくなり、新規の患者も受け入れられない事態になった。会計システムなども使えなくなった。3週間が経っても復旧できていない。
犯人の要求を拒否、2億円かけてシステム再構築へ
半田病院は11月26日に犯人側の要求に応じずに身代金を支払わない方針を25日までに決めたと発表。2億円をかけてカルテのシステムを改めて構築して、来年1月4日に通常診療の再開を目指すという。
この攻撃が明らかになってから国外のハッカーにも取材を進めると、半田病院の関係者らの電子メールなどが、インターネットの地下空間であるダーク(闇)ウェブに漏れていることがわかっている。
そうした情報が攻撃の端緒になったのかはまだわからないが、さらなる調査結果を待ちたいところだ。
下手すると人命にも関わる重大な問題である。サイバー攻撃はいま、ここまで深刻になっているのである。
ただこうした被害も、氷山の一角に過ぎない。日本企業を含め、世界的にも、ランサムウェア被害は大変な状況にある。