アフターコロナは大きな構造変化が進む
かつ、アフターコロナには日本の経済社会で大きな構造変化が進むことを忘れてはならない。
最大の構造変化はデジタル化の急速な進展である。日本は1990年代後半から世界のデジタル化の潮流に乗り遅れ続けてきたので、アフターコロナはそのツケを払うくらいに速いペースでデジタル化が進むであろう。
そこで重要なのは、一般にはデジタル化というとビジネスや行政手続きなどの効率化くらいしかイメージされていないが、実際にはビジネスや生活など経済社会のあらゆる局面に革命的な大きな変化をもたらすことである。
それを予見させる前例を紹介しよう。
1990年代後半から普及を始めたインターネット(=デジタル)があらゆる産業の中で最初に浸透したのは音楽産業だが、侵食から10年足らずで音楽産業の構造が全く違った形に変わってしまうという、まさに天変地異が起きたのである。
具体的には、長年続いた業界の縦割り構造(各レコード会社がCD製造設備や流通ルートなど音楽ビジネスに必要なすべてのファンクションを自前で持ち、自社だけで縦割りにビジネスが完結)は、アップルなどのネット企業が構築したレコード会社横断的なデジタル音楽配信プラットフォームをベースとした横割りの構造に変革されてしまった。
ちなみに、インターネットはメディア産業(テレビ、新聞)や金融業の縦割り構造も横割りの構造に変えてしまったが、デジタル化が進むとは、単に効率化が進むだけでなく、こうした大変革があらゆる産業や社会生活の全局面で起きることを意味するのである。だからこそ、アフターコロナはデジタルを前提として日本の経済社会のあり方を再定義することが必要になるのである。