ワクチン接種後の抗体値の変化

 本稿の最初に「抗体価」のモデルデータ・グラフを示しておきます。

 ワクチンを接種すると、私たちの体の中で新型コロナウイルスに感染しないよう戦う武器に相当する「抗体」が作られるようになります。

 上のデータは私たちの血液中に存在する抗体の量「抗体価」を示すモデルグラフで、現実の測定値をもとに作成していますが、特定の個人の例を示すものではありません。

 ワクチンを1回打つと、最初の数日は変化がありませんが、10日目を過ぎる頃から血中の「抗体価」が上がっていき、2回目接種後安定するという「一般的なシナリオ」になっている。

 IgG IgMといった表記が何を示すかは、後述することとして、まず大枠を押さえておきます。

 さて、8月28日、兵庫県尼崎市で「ワクチンを2回接種した」80代の女性が亡くなったとの報道(https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202108/0014631424.shtml)がありました。

ワクチン2回接種後、感染・死亡

 この女性患者さんは、ワクチンを2回、接種済みでしたが、8月半ばになり体調が悪くなったのでしょう。受診したところ8月23日に「陽性」が判明。

 つまりPCR検査を受けたということですね。それはつまり、新型コロナウイルス感染症の兆候が見られたから、医師がそう判断したものと思われます。

 陽性が判明した時点での症状は「中等症」であったとのことですが、23日に入院後、容態が重症化し、4日後の27日に亡くなられたと報じられています。

 この「中等症」とは何か?

 同じ日に、尼崎市内で発見された感染者の分布を見てみると

無症状   5人  約4%
軽症  108人       約80%
中等症   5人  約4%
調査中   16人  約12%