臨床医がみな新型コロナウイルス感染症の専門家だと勘違いしていないだろうか

 8月12日、ちょっと目を疑う見出しが視界に飛び込んできました。

 東京都の感染拡大「制御不能」な状況に

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210812/k10013196681000.html

 こう「専門家」が言っているというのです。

 反射的に思ったのは「感染拡大を制御してこその専門家」だということ。制御できないなら、ただの素人のおじさんおばさんの集団でしょう。

 早速「モニタリング会議」(https://www.youtube.com/watch?v=aq2rJlsu4ik)実物を確認して、非常に残念な納得がいってしまいました。

 会議に出てきた「専門家」は、まず間違いなく、自分自身で取りまとめたのではない、スタッフが上げてきたパワーポイントとシナリオを読み上げる役で、その場で実質的な議論などなされることはありませんでした。

 さらに、居並ぶ人々がどのような「専門家」であるか、検索して、もう一つ納得がいきました。

 全員「医師」であること。またほぼ全員が「臨床医」(かそのOB)であること。

 つまり、現役の基礎医学研究者や、一線の公衆衛生医、医師ではなく、都市防疫の観点からパンデミック収束を図るウイルス学の専門家などは一人もいないように見受けました。

 東京都で拡大の一途をたどる感染を収束させるシビル・エンジニアリング、都市衛生の「専門家」が見当たらない。

「院内感染」などの専門である可能性はあると思いますが、そういう人たちが、複雑多岐にわたる一千万大都市で市中感染する新型コロナの拡大に「制御不能」と言っている。

 つまり「制御可能な専門」ではない、別の専門家たちを専ら並べて、そこで「制御不能」と言わせている。