横浜市長選で他の候補者に大差をつけて当選した山中竹春氏(2021年8月21日、写真:つのだよしお/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

IRへの批判、コロナ対策失敗のツケ

 注目を集めた横浜市長選は、立憲民主党推薦の元横浜市大医学部教授の山中竹春氏が、菅義偉首相が支持する前国家公安委員長の小此木八郎氏や現職市長の林文子氏らに大差をつけて圧勝した。菅首相の選挙区である神奈川2区でも山中氏が小此木氏に勝っている。

 なぜここまでの差がついたのか。1つには、カジノを含む統合型リゾート(IR)への市民の批判が大きかったということだろう。菅首相も小此木氏もこのIR推進派であった。ところが小此木氏は衆院議員を辞職して市長選に出るに当たって、急遽IR誘致反対に態度を豹変させた。ところが小此木氏を応援する菅首相は、依然として推測派なのだから市民からは本当に反対なのか疑われる羽目になってしまった。

 この点で山中氏は、真っ先にIR反対の立場を表明し、その態度は鮮明であった。

 もう1つがコロナ対策である。菅内閣のコロナ対応に批判の声が多いことは、多くの世論調査が物語っている。有り体に言えば、多くの国民が失格だと判断しているのだ。こんな人の支持を受ければ票が減ることはあっても、増えるわけはない。簡単な理屈だ。