8月20日、東京・赤坂の迎賓館で行われた東京パラリンピックの聖火リレーの集火式に出席した菅義偉首相(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 8月22日に投開票が行われた横浜市長選で、菅義偉首相が支援する小此木八郎・前国家公安委員長が、立憲民主党推薦で元横浜市立大教授の山中竹春氏に敗れた。午後8時に山中氏に「当確」が出るという一方的な結果は、小此木氏にとって大きな挫折となるが、地元・横浜の市長選挙で勝てなかった菅首相にとっても衝撃だ。

 なにしろ、菅首相には自らの政治生命がかかった決戦が目前に迫っている。自民党総裁選と衆議院選挙だ。「どのタイミングで首相は勝負を仕掛けるか」が注目されてきたが、今回の市長選で肝心の首相の足元が盤石とは言い難いことが露わになった。この状況下で、菅首相はこの秋の政局をどう乗り切るつもりなのか。

総裁選の後に「任期満了」で衆院選

 9月30日までの党総裁任期、10月21日までの衆議院任期、そして収まる気配も見えない新型コロナの感染爆発と低迷する支持率——。これらを所与の要件として菅首相は今週の政治日程を導き出さねばならないわけだが、取材してみるとそのスケジュールがいよいよ固まりだしたようだ。自民党総裁選は9月29日投開票(17日告示)、任期満了に伴う衆院選は10月17日投開票(5日公示、衆院のみ「公示」と呼ぶ)となると見られる。自民党総裁選でメディアの注目を集めて衆院選に臨む、というシナリオは、筆者が前回指摘した通りである。

(参考)菅首相「続投前提」から「退陣含み」へ、オリパラ後の政局を読む(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66394

 主要マスコミは「不人気の菅義偉首相は総裁選では不利なので、総裁選前に衆院解散に打って出る」という前提で取材していたようだが、菅首相は総裁選を正面から突破できると考えている。なお、筆者は1976年の衆院選の事例を踏まえ、昨年末から「10月17日投開票」説も唱えてきた。

「10月17日衆院選」の予想が外れるとしたら、総裁選で菅首相以外の人物が選ばれた場合だろう。この時には臨時国会を開いて首班指名を行うため、衆院選は11月以降に延びる可能性がある。

 この可能性についても後述するが、まずは9月30日がほぼ固まった自民党総裁選の情勢から見てみよう。