(舛添 要一:国際政治学者)
8月2日、政府は従来の新型コロナウイルス対応を変え、「中等症以下の患者は自宅療養させる」という方針に変えた。この「入院制限」が世論や与党からも猛批判を浴び、5日は、中等症であっても「酸素投与が必要な患者は入院可」「最終的には医師の判断」などと修正を余儀なくされた。
だが、入院患者を選別することで病床をなんとか確保しようという意図は明らかだ。そして、これからは入院したくでも入院できず、自宅でなくなる患者も増えてくるだろう。その決断の背景にあるものは何なのか。
菅政権、感染拡大に打つ手なし
「入院制限」に踏み切った政府の方針転換の背景は、コロナ患者の急増で病床が不足するという危機感である。全国の感染者は、4日には1万4207人にのぼった。東京都が4166人、埼玉県が1200人、神奈川県が1484人、千葉県が840人など関東地方は急増している。また、北海道は366人、大阪府は1224人、福岡県は752人、沖縄県602人など他地域も同様な状況である。
5日には、東京都の感染者は5042人と、遂に5000人を超え過去最多である。全国のコロナ感染者も1万5000人を超えた。首都圏の神奈川県1846人、埼玉県1235人、千葉県942人、いずれも過去最多となった。福岡は718人で、県知事は政府に緊急事態宣言発令を要請した。大阪府は1085人、兵庫県は459人、愛知県は364人、沖縄県は648人、北海道県は342人など増加が止まらない。打つ手がない状態である。