東京五輪が閉幕した。アメリカのバイデン大統領から大会の「成功」を祝福された菅義偉首相だが、菅内閣の支持率は最低を更新し続けている。
最大の理由は、もちろん、新型コロナウイルスの感染が拡大の一途を辿っていること。さらに言えば、この難局において首相が国民に向けて、意味あるメッセージをなんら発せていないことに対する大きな失望がある。
支持率はすでに「赤信号」の領域に
国民の失望ぶりは各種世論調査にはっきり表れている。
8月7、8日に行われた朝日新聞の世論調査では、内閣支持率は28%(−3)%と、政権発足以来最低を記録し、初めて2割台に落ちた。交通信号に喩えると、30%台は黄色、20%台は赤である。不支持率は53(+4)%である。
菅首相のコロナ対策については、「評価する」が23(−3)%、「評価しない」が66(+1)%と厳しい評価であり、「評価しない」人では、内閣不支持率は70%に上っている。また、コロナに取り組む菅首相の姿勢については、「信頼できる」が23%、「信頼できない」が66%である。この二つの質問の回答は同じ数字になったが、対応策のみならず、「姿勢」まで問題にされていることが重要なポイントである。
さらに、菅首相が対策の切り札として力を入れているワクチン接種については、「順調だ」が20%、「遅い」が73%である。
そして、「自民党総裁選に再選して首相を続けてほしいか」という質問に対しては、「ほしい」が25%、「ほしくない」が60%である。こういう結果が出ると、「来たる衆議院選は菅総裁では戦えない」という意見が自民党内で強まっていく。自民党は、選挙に勝つためには、冷酷にトップを変える。