日本人選手の活躍が目覚ましい五輪も支持率アップには結びつきそうな気配はなく、コロナ感染拡大や広島の平和記念式典での「読み飛ばし」によって批判に晒され続けている菅義偉首相。支持率反転の手はあるのか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 菅義偉首相への批判が止まらない。最近では、8月6日に広島市で開かれた平和記念式典での読み飛ばし、新型コロナウイルスの療養方針で中等症患者が入院できないかのような発表、東京五輪のメダリストをたたえてばかりのインスタグラム投稿などがやり玉に挙げられている。国民のストレスや不満は高まるばかりで、菅首相が怨嗟の的になっている。

 もちろん、菅首相だけが悪いわけではない。ワクチン接種スピードの加速化は菅政権の大きな成果と断言できる。しかしながら、菅首相の自民党総裁任期満了日を9月30日、衆議院議員の任期満了日を10月21日に控え、永田町の力学は否応なく変動する。政局動向は「一寸先は闇」であり、予断を許さないのが常だ。オリンピック後の政治日程を軸に今後の展開を予想してみよう。

「9月6日解散」説

 9月5日、東京パラリンピックが閉会する。翌日は平日の月曜日だ。わずか1カ月前までは、“パラリンピック閉会直後”に臨時国会が召集され、菅首相が衆院解散に踏み切るとの見通しが大勢だった。

 実際、永田町の一部では、その日程を前提に動き出していた。

 自民党最大派閥の細田派(清和政策研究会)は、7月13日に予定していた毎年恒例の政治資金パーティーを9月6日に延期しており、同派関係者は「ちょうど解散日、もしくは解散表明の日かもしれない」と当然のように指摘していた。同派が9月6日への延期を決定し、関係者に通知したのは7月9日である。細田派は、いまや「キングメーカー」となりつつある安倍晋三前首相の出身派閥だ。細田派の動きは9月上旬解散を念頭に置いたものと解釈していい。