ただし、すべての前提を覆すパターンが一つある。それは、自民党総裁選で菅首相が再選されなかった場合だ。9月29日の総裁選後、ただちに臨時国会を開いて首班指名を行うことになれば、「10月5日公示、10月17日投開票」に間に合うかどうか。あらかじめ決まっていた任期満了の選挙日程を新内閣が見直し、新首相が10月21日までに解散するという“線”まで出てくる。衆院選の日程については、立憲民主党の手塚仁雄衆院議員が6月に行った質問主意書が参考になる。

(外部リンク)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204230.htm

横浜市長選の影響

 横浜市長選で、菅首相が推す小此木八郎・元国家公安委員長が、野党が推した山中竹春・元横浜市立大教授に敗北したことは、当然ながら菅氏にとって大きな打撃であり、与党内での求心力はさらに低下するだろう。

横浜市長となる山中竹春・元横浜市立大教授(写真:つのだよしお/アフロ)

 しかし、いまだかつて地方選挙の結果で首相が交代した例はない。「菅首相では選挙の顔にならない」といった不満の声が目立つが、では菅首相以外に誰が適任なのか、となると決め手に欠く。報道各社の世論調査では、内閣支持率は20%台後半から30%台前半、自民党への支持率も30%台前半を維持している。野党に政権を明け渡すほどの数字ではない。横浜市長選の敗北が菅首相の再選に与える影響は限定的ではないか。

 繰り返しになるが、総裁選で「まさか」が起きることは否定できない。党員投票で菅首相が「ノー」を突きつけられるケースだ。それでも「総裁選→衆院選」という方針を固めた菅首相はリスクの高い勝負に挑んでいるのは間違いない。