「米国は犯罪者に対する入国制限が厳しい。犯罪前歴がある旅行者が入国する際、不利益を被る例も少なくない」

 この朝鮮日報のコラムの「推測」について、真偽は分からない。単に、米国訪問の機会がなかっただけなのもしれない。

 だが、特赦で「犯罪がなかったこと」にならない場合、外国への入国にいろいろと問題が生じる可能性はある。

 日本の場合も、入管法第5条に「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁固またはこれらに相当する刑に処せられたことのある者」は日本に上陸できないとある。

 実務的には、別途の上陸特別許可を得る必要が出てくる。

 韓国の財閥首脳の中には、有罪判決を受け、いまだに日本に入国できない例がある。

 ある財閥関係者は「経済犯罪で有罪になった。何度か日本政府に特別許可を求めたが、ダメだった」と明かす。

 もちろん、どの国も、似たような規定があったとしても、李在鎔副会長が「重大な用事」で訪問したいと言えば、特別許可が出る可能性は十分にあるとの見方が強い。

 だが、「新型コロナの流行で入国審査が厳しくなっている」という事情もあり、すぐに日本に行くことができるかどうかは微妙だ。

 また、将来も、特別許可を求める必要があり、手間がかかることになる可能性もある。

 韓国の、財界首脳は、これまでも仮釈放でなく、「特赦」を強く求めてきた。特赦なら、こうした心配をしなくてよくなるのだ。

 仮釈放と特赦には大きな違いがあるのだ。