中国の景勝地・桂林。コロナ禍以前は日本人にも大人気の観光地だった

1.大学生が自ら取り組む日中交流活動

 先日、日中間の学生相互交流活動に取り組んでいる日本の大学生の議論に参加する機会に恵まれた。

 その時の議論のテーマは、「メディア報道では中国に関して正しい事実が報じられることが少ない現状において、日本と中国の相互理解を深めるために、現在大学生である自分ができること、また、将来の目標としてやってみたいことは何か?」だった。

 参加した大学生は十数人。複数のグループに分かれて、少人数でこのテーマについて議論し、各グループの代表がその議論の中身を発表し合うという形で進められた。

 参加した大学生は親中派というわけではないが、日中関係のあるべき姿について真剣に考え、自分なりに実行すべきことを考える姿勢を共有している。

 そうした冷静な視点と積極的な問題意識や志が思考の土台となっているため、一つひとつの意見がよく考えられており、どれも傾聴に値する内容だった。

 以下では筆者が注目した発言内容を紹介したい。

2.ネガティブな中国観が形成される原因

 第1のテーマは、一般的な日本人の中国観はネガティブな傾向が強いが、そうした中国観が形成される原因とそれに対する対応策についてだった。学生たちの意見の主なポイントは以下のとおりである。

●日本のニュース等で報じられている中国関連の情報は交通事故や民事事件のようないわゆる「衝撃映像」が中心であるため、それが中国の印象を悪くしていると感じる。

●日本での一般的な中国イメージは、「汚い」「反日感情が強い」「中国は怖い国」といったところだと思う。

 これは中国のことをよく知らない人たちのイメージである。

 若い世代の間ではアイドル、化粧品など日常的な文化交流を通じて日中間の相互理解がある程度進んでいる。こうした身近な生活文化の共有を通じて中国理解を深めていく方法がある。