東京都議会議員選挙(2021年)の投票の様子(2021年7月4日、写真:つのだよしお/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

菅政権にノーを突きつけた都議選

 2021年7月4日に行われた東京都議会議員選挙の結果は、一言で言えば「菅政権ノー」だった。

 選挙前の予想では、自民党、公明党で過半数は確実ということだった。小池百合子都知事が作った都民ファーストの会は、45の議席が1桁になってしまうのではないかとさえ見られていた。

 4年前、自民党は都民ファーストの会に完膚なきまでに叩き潰された。議席数はわずか23とまさに歴史的惨敗だった。今回の選挙前、菅義偉首相は自民党の世論調査をもとに「50議席はいくよ」と語っていたそうだ。だが結果はどうだったか。50議席どころか、わずか33議席に過ぎなかった。自公を合わせても過半数の64議席に遠く及ばなかった。一方、都民ファーストの会は31議席を獲得し、予想を大きく上回った。

 原因はいろいろあるだろう。「安全安心」とか「先手、先手」などという空疎な言葉の乱発もその一つだろう。東京都に4回目の緊急事態宣言を発令する際、菅首相は自信なさげに「先手、先手」の対策だと言った。なぜこんな見え透いた馬鹿げた言葉づかいをするのか、不思議でならない。世間の誰もが先手、先手などとは思ってはいない。こんな表現に国民が“そうだ”と思うとすれば、国民を馬鹿だと思っているとしか思えない。翌日のテレビの番組表には、「後手、後手の菅政権」という見出しが立っていた。これが国民の感覚である。

 記者会見でも、まともに質問に答えたことがない。4回目の緊急事態宣言の際、記者から「これが最後ですか」という質問が出た。だがまともに答えなかった。記者が「緊急事態宣言はこれが最後かと聞いているのですが」と再度質問すると、小野日子内閣広報官が「追加質問はお控えください」と打ち切った。首相と記者の間で会話が成立しないのだから、話にならない。