東京五輪に参加する米国人の不安
7月9日現在、米国の新型コロナウイルス感染者は3470万5608人、死者数は62万2601人。
日本は感染者81万2287人、死者数1万4916人。
国土面積や人口を抜きにした数字で単純比較はできないが、感染規模は「月とスッポン」だった。
(https://www.worldometers.info/coronavirus/country/us/)
(https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/countries-and-territories/japan/)
数字で見る限り、日本は米国よりずっと安全なのだが、米国にとって気がかりなのは、新型コロナウイルス「デルタ株」の感染が拡大していることとワクチン接種が遅れていることだ。
確かに、緊急事態宣言下で行われる東京五輪では6都道県の会場を無観客とし、パブリックビューイングも中止された。でも、それで万全ということではない。
東京五輪取材が決まっている米主要紙のスポーツ担当記者は筆者にこう囁く。
「五輪取材はスポーツ記者冥利に尽きるが、今度だけは嫌だね。それに史上初の『テレビ五輪』だ」
「取材する我々は米国で観戦する視聴者と同じ画面を観て、記事を書く。選手たちとのインタビューもほとんどはオンライン。それもテレビが映し出す」
「仕事が終わった後、Izakaya(居酒屋)で一杯、というわけにもいかないしね。何のために危険を冒してまで東京に行くのか分からないよ。ワイフは猛烈に反対している」
今や、東京五輪の成否は、独占放映権を持つ米NBCテレビの双肩に重くのしかかってきた。NBCにとってはかつてなかったほどのプレッシャーを受けて、社運をかけた大仕事になってきた。