大谷翔平選手は米国人に衝撃を与えた(7月13日のMBLオールスター戦で先発ピッチャー、1番DHとして出場、写真:UPI/アフロ)

「オオタニ現象」が東京五輪の追い風に

 7月12日付のロサンゼルス・タイムズにはど肝を抜かれた。スポーツ・セクションの1面の3分の2を費やして描いた日本人アスリートのイラストだ。

 大リーガーの二刀流・大谷翔平、テニスの女王・大坂なおみ、ゴルフの松山英樹、NBLの八村塁、サッカーの久保建英ら全米スポーツ界の英雄たちだ。

 見出しは「Visualize and Shine」(目に見えて異彩を放つ」。「オオタニとそのほかの日本人アスリートが今世界を席巻している。彼らの成功は東京五輪を祝福するかのように」

https://www.latimes.com/sports/story/2021-07-12/shohei-ohtani-naomi-osaka-japan-has-begun-golden-age-of-sports

 同紙ウエブサイトの記事の見出しは「ショーヘイ・オオタニからナオミ・オオサカまで日本人アスリートが黄金時代を独占」(From Shohei Ohtani to Naomi Osaka, Japanese athletes dominate during golden era) だ。

 大谷選手の活躍は地元ロサンゼルスだけでなく全米に報じられ、今や「オオタニ現象」にすらなっている。

 ベーブ・ルース以来100年ぶりの快挙に米国民は熱狂している。そこには日本人だからとか、アジア人だからといった驚きとか好奇心はない。

 良いものは良い、何かどでかいことをやろうとする者は無条件で応援する。すごいものはすごいことを絶賛するヤンキー精神なのだ。

 その「オオタニ現象」は、オールスターゲームで大谷が超一流選手の前で実際に二刀流を実践させたことで、いやが上にも「歴史」を刻み込んだ。

 オオタニ現象という追い風を受けて、米国人の東京五輪への関心は一気に盛り上がってきた。

 金メダルはいくつ取れるか、女子サッカーは優勝できるかなどなどスポーツ・メディアは連日のように予想で大忙し。

 だが東京五輪は良いことずくめではない。米医療関係専門家たちの東京五輪に向ける眼差しは、日増しに厳しさを増している。