「オオタニ現象」が東京五輪の追い風に
7月12日付のロサンゼルス・タイムズにはど肝を抜かれた。スポーツ・セクションの1面の3分の2を費やして描いた日本人アスリートのイラストだ。
大リーガーの二刀流・大谷翔平、テニスの女王・大坂なおみ、ゴルフの松山英樹、NBLの八村塁、サッカーの久保建英ら全米スポーツ界の英雄たちだ。
見出しは「Visualize and Shine」(目に見えて異彩を放つ」。「オオタニとそのほかの日本人アスリートが今世界を席巻している。彼らの成功は東京五輪を祝福するかのように」
同紙ウエブサイトの記事の見出しは「ショーヘイ・オオタニからナオミ・オオサカまで日本人アスリートが黄金時代を独占」(From Shohei Ohtani to Naomi Osaka, Japanese athletes dominate during golden era) だ。
大谷選手の活躍は地元ロサンゼルスだけでなく全米に報じられ、今や「オオタニ現象」にすらなっている。
ベーブ・ルース以来100年ぶりの快挙に米国民は熱狂している。そこには日本人だからとか、アジア人だからといった驚きとか好奇心はない。
良いものは良い、何かどでかいことをやろうとする者は無条件で応援する。すごいものはすごいことを絶賛するヤンキー精神なのだ。
その「オオタニ現象」は、オールスターゲームで大谷が超一流選手の前で実際に二刀流を実践させたことで、いやが上にも「歴史」を刻み込んだ。
オオタニ現象という追い風を受けて、米国人の東京五輪への関心は一気に盛り上がってきた。
金メダルはいくつ取れるか、女子サッカーは優勝できるかなどなどスポーツ・メディアは連日のように予想で大忙し。
だが東京五輪は良いことずくめではない。米医療関係専門家たちの東京五輪に向ける眼差しは、日増しに厳しさを増している。