民主対共和で米国二分の間違い
今の米国は分裂、分断しているという。
保守対リベラル。共和党対民主党。バイデン支持者対トランプ支持者。東・西部対南・中西部。都市居住者対ルーアル(地方非都市)居住者。富裕層対貧困層。高学歴者対低学歴層。白人対非白人(黒人、ラティーノ、アジア系)。
こうした2つの勢力が組んずほぐれつの争いを続けて、米国は真二つに分断されている――。こう「解説」する米国通ジャーナリストや学者がいる。
だが米国に長年住み、米国を肌身に感じて生き、内部から「定点観測」している筆者にとっては、こうした見方はどうも実態を反映したものだとは言いにくい。
正確に言えば、「2つの勢力」が拮抗しているわけではないのだ。「3つの勢力」が拮抗して3分断されていると言った方がいい。
保守、リベラル、そしてその両者でもない「中間無党派」が睨み合って3分断されているのだ。
先の大統領選でジョー・バイデン氏を大統領に選んだ決め手となったのは、この「中間無党派の良識」が民主党に加担したことだった。
おそらく2022年の中間選挙を決めるのもこの中間無党派が民主党、共和党のどちらを選ぶかで決まりそうだ。
カリフォルニア大学バークレイ校の政治学者の一人は、こう指摘する。
「中間無党派層が今の米国のバランスを保っているコモンセンス(良識)になっている。2020年の大統領選、上下両院選で民主党を勝たせたのは、この層が民主党に票を入れたからだ」