禁固22年6か月の量刑を言い渡されたショーヴィン被告(6月25日、提供:代表撮影/ロイター/アフロ)

大学のアメフト選手だったフロイドさん

 全米はおろか、世界中に「ブラック・ライブズ・マター」(BLM=黒人の命も大切だ)運動のうねりを巻き起こすきっかけとなった白人警官の黒人殺害事件――。

 中西部ミネソタ州へネピン郡(ミネアポリス市を含む)裁判所(ピーター・ケイヒル裁判長)は、拘束中の黒人、ジョージ・フロイドさん(当時46歳)を窒息させ、死に至らせた白人警官、デレク・ショーヴィン被告(45)に対し、禁錮22年6カ月の量刑を言い渡した。

 同州のガイドラインで通常科せられる禁固刑に10年加算したことになる。

 去る4月、同郡大陪審が同被告を第2級殺人など3つの罪状で有罪評決したのを受けた判決だ。

 ケイヒル判事は「判決は事実関係を厳格に精査した結果であり、世論の影響は受けていない」と述べた。

 しかし、同事件に対する内外の反響や人種問題が政治問題化している状況を考慮した結果であることは否定し難い。

 殺されたフロイドさんは身長198センチの元テキサスA&M大学アメフト選手(スポーツスカラーシップ学生だったが中途退学)だった。

 中退後、トラック運転手、クラブの守衛など仕事を転々と変えながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで勤め先が閉鎖され、失業。

 逮捕時には、新型コロナウイルスに感染し、陰性になったばかりだったという。

 これまでコカイン保持・運搬、窃盗、警官の職務質問拒否などで逮捕歴10回、累計30カ月服役している。子供5人と孫2人がいる。