欧州同盟国との関係修復・強化
ジョー・バイデン米大統領は6月中旬、就任初の外遊を終えて16日帰国した。
就任以来、「アメリカ・イズ・バック」(米国は戻ってきた)を合言葉にドナルド・トランプ前大統領が掲げた「米国第一主義」から決別、同盟国との関係重視、国際協調路線を推し進めてきた。
手始めは国務・国防長官による日韓歴訪、オンライン形式の日米豪印のクアッド首脳会談を通じたアジアの同盟国との関係強化だった。
その背景には一にも、二にも「中国の脅威」があった。
中国に対抗するには米国一国では無理だ。だから意を同じくする同盟国やパートナーとの共同戦線を敷く。これがバイデン政権の基本姿勢だった。
アジアの同盟国との関係再強化を踏まえ、バイデン氏は、6月11日から13日、英南西部コーンウォールで開かれたG7(先進7か国首脳会議)サミット、その後ブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、米EU(欧州連合)首脳会議に出席。
同盟国との結束という追い風を受けて16日にはジュネーブでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と初の対面会談に臨んだ。
バイデン氏の初外遊に対する米メディアの評価も一応合格点をつけている。
米世論調査機関、ピュー・リサーチ・センターが行ったG7直前の世界主要12か国の世論調査結果でも米国に対し、「好意的」(Favorable)と答えた人が62%と急上昇していることも米メディアの高評価と無関係ではないはずだ。
トランプ政権末期の2020年には米国への「好意的」は34%だったのに比べると、現在は62%。特にフランスでは11%から74%、ドイツでは10%から78%と急増した。
米国人ほど外国にどう見られているか気にする国はない。
この点は日本人によく似ている。日米の違いは、米国は外国の評判が悪くても時の政権はその政策を強引に押し進める。トランプ政権はそのいい例だった。