カトリックの司祭たちがバイデン大統領に“挑戦状”を突きつけた

キリストの血と肉を口にしてはならぬ

 米国はキリスト教プロテスタントの国と思われがちだが、全人口の22%(7041万人)はカトリック教徒が占めている。

 その10人に1人は共和党員。キリスト教プロテスタント原理主義者(エバンジェリカルズ)とともに2020年の大統領選挙ではドナルド・トランプ氏を当選させた原動力だった。

 そのカトリック教団全米司教会議が6月16日、カトリック教徒としては史上2番目のジョー・バイデン大統領に事実上の「破門状」を突き付けた。

(カトリック教徒の初代大統領はジョン・F・ケネディ)

 同会議はカトリック教徒にとっては最重要の「聖体の秘跡」(Communion)を施さない、との決議草案を賛成多数で採択したのだ。

 正式の決定は11月に行われる会議で決まるが、「今回の決定が覆される可能性は小さい」(カトリック教会関係者)。

 理由はバイデン氏が、カトリック教徒しては越えてはならない人工妊娠中絶問題に寛大なスタンスをとり続けてきたことだ。

 これは「戒律に反する」もので、日曜礼拝をするのはいいが、「聖体の秘跡」には参加させないというのである。

 全米司教会議は全米のカトリック教区司教433人が出席して行われた。出席者のうち73%が「人工妊娠中絶を支持する教徒すべてに『聖体の秘跡』を施さない」とする草案に賛成した(反対は24%)。

「聖体秘跡」とは、イエス・キリストの最後の晩餐に由来する儀式で、聖体(パンとワイン)を口にすることでそれがキリストの体と血に変化し、信徒が分かち合うミサの核となるもの。

 キリスト教徒は、それによってキリストの死と復活を思う、イエスの現存を信じ、犯した罪からの救いを請い、信仰者同士の絆を確認する。

「人工妊娠中絶を支持する者」に、バイデン氏やナンシー・ペロシ下院議長ら民主党の両院議員60人が含まれていることは明々白々。

 カトリックの司祭による民主党カトリック系政治家への挑戦とみていい。