ニューヨーク市ではセクハラに人権侵害という重い罪が科せられる

全米で最も厳しいニューヨーク市

 米国では今や選挙違反よりも重罪とまで言われるようになったセクハラ。政治家ならさしずめ議員解任、大企業なら有罪判決、服役した大物もいる。

 特にニューヨーク市は全米で最も厳しい。「基本的人権に対する侵害」と位置づけ、和解が成立した加害者でも市の法律(「行政規範」)で罰する。

 米国は、連邦政府が定めた法律と並行して各州、各市町村が独自に定めた法律がある。日本でいえば市条例に当たるのだが、罰則はその比ではない。

 その市で経済活動を行う企業に対しては外国企業にも容赦しない。

 ニューヨーク市の「行政規範」に基づいて設置されているのが人権委員会(The New York City Commission on Human Rights)だが、その委員会が6月29日、フォックス(FOX)ニュース社に鉄槌を下した。

 長年にわたり、経営最高幹部や男性キャスターが行ってきた女性キャスターらスタッフに対するセクハラ行為を黙認してきたとして罰金100万ドルを科したのだ。同委員会が、セクハラ事案で科した罰金額として過去最高だ。

https://www.thedailybeast.com/fox-news-agrees-to-dollar1-million-fine-for-violating-human-rights-law

人気女性キャスターをレイプしたCEOの末路

 フォックスニュースのセクハラ事件として記憶に新しいのが、経営最高経営者(CEO)だったロジャー・エイルズ氏による人気女性キャスター・セクハラ事件だ。

 エイルズ氏は、当時同社の帝王的存在として君臨した人物だ。

 同社の超人気女性キャスターだったグレッチェン・カールソンさん(55)に狙いを定め、日常的に追いかけまわし、セクハラ行為を繰り返し、レイプしてしまった。

 その後、同じく人気キャスターのメーガン・ケリーさん(56)はじめ、同社の女性スタッフ23人にもセクハラ行為を働いていた。ここまでくると、まさに病的常習犯だ。

(カールソンさんはスタンフォード大学卒、ミス・アメリカにも選ばれた才媛。この事件後、セクハラ撲滅運動の先頭に立って活動を続けている)