子ども政策は大事だが、「こども庁設置」はその答えではない
その一方でよく分からないのが「こども庁」の議論です。
私なりにザックリ解説すると、「こども庁」の趣旨とは、従来の「保育園の所管をどうする」とか「幼稚園の所管をどうする」とか「少子化対策としてこういう施策を打っていこう」といったような従来の提供側からの視点だけでなく、「こども」を主語にして、サービスを受ける側から虐待問題やこどもの貧困問題をとらえ直し、よりしっかりとこどもに寄り添っていこうということだと思います。
その捉え方は極めて大事だと思います。例えば少子化は本当に深刻な状況になっています。2020年の出生数は、前年より2.6万人減って、87万人になっています。厚労省が昨年9月に発表した合計特殊出生率は1.36でした。これは前年の1.42から0.06ポイント低下しています。
菅首相が官房長官をしていた安倍内閣は、2015年に打ち出した「新三本の矢」の中で出生率の目標を1.8にしていました。それが現実には1.36です。激しく少子化が進行しています。
さらにせっかく生まれてきた子どもたちの中には、貧困や虐待で、行政や周囲の助けを必要としている子もいます。ですから、行政が子どもにもっと寄り添おうとする姿勢は非常に大事です。
ただ、その答えは今、急いでこども庁をつくることではないと思います。