(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)
個人情報漏れのニュースが止まりません。
本稿を執筆している4月5日朝のニュースによれば、Facebookの5億人以上の個人情報がインターネットで閲覧可能な状態になっていたとのことです。報道によれば、過去に流出した情報が再度閲覧可能な状態になっていただけのようですが、どこか寝覚めの悪さを感じざるを得ません。
また、先月には、LINE利用者の個人情報(LINE Payの取引情報などの企業情報を含む)が中国の関連企業から閲覧可能な状態にあったことが発覚し、国を挙げての大騒動となりました。中国では、法律上、国民や企業が国家の諜報活動に協力する義務があります。具体的な漏洩は確認されていないといいますが、仮に実際に中国政府に漏れていたとして「はい、そうでした」と先方が言うわけもなく、背筋が寒くなる状態にあったことは確かです。
プラットフォーム企業による個人情報収集、もはや個人では対抗しようがない
言うまでもありませんが、現代は「情報の時代」だと言われています。特に、個人情報などの各種データは、業界筋では、かつての石油にもたとえられるほど貴重な資源となっています。20世紀初頭には、主に燃料としての価値が見込まれていた石油も、その後、精製されてのガソリンや軽油などの主に燃料としての用途のみならず、ナフサから様々に加工され、プラスチック製品からゴムや衣料など、現代生活に欠かせない資源となりました。当初の想像を超える展開です。
同じように、「現代の原油」ともいうべき各種データも、今はマーケティングの道具としての活用がメインですが、今後どのように「精製・加工」されて発展して行くのか想像がつきません。いわゆる「フィルターバブル」などといった象徴的な言葉が世上飛び交っていますが、すでにわれわれはかなりのレベルで「見たい情報」を把握され、情報をコントロールされているとも言えるのです。スマホ・PCなどのデバイスを通じた情報によって、今や企業側に「売りつける商品・サービス」どころか「人格」そのものを作られてしまっているという側面すらあります。これは一種の「洗脳」と言えなくもありません。であれば、ますます統制が精緻化する中で、企業が個人からお金を吸い上げることがどんどん容易になって行くと言えます。