(舛添 要一:国際政治学者)
3月18、19日、アメリカと中国の外交トップがアラスカのアンカレッジで会談した。バイデン政権後、初の外交会談であるが、激しい非難合戦となってしまった。その会談の前、16日には東京で日米の2プラス2が行われ、18日にはソウルでアメリカと韓国が同様に会談している。
22日には、ウイグル族への人権弾圧をめぐって、EU、アメリカ、イギリス、カナダが中国に対して制裁を課した。これに対抗して、中国は、ロシアと外相会談を行った。
ロシアは、バイデン大統領がプーチン大統領を「人殺し」と呼んだことに抗議して、21日、駐米大使を帰国させている。
23、24日にはブリンケン国務長官はNATO外相会談に出席し、中国の脅威を強調し、「中国の強圧的行動が我々の集団的安全保障と繁栄を脅かし、国際システムのルールや我々が同盟国と共有する価値観を弱体化させようとしていることは間違いない」と述べ、欧州同盟国との結束の必要性を訴えた。
しかし、気候変動や感染症対策などで中国と協力する姿勢は維持している。
尖閣沖で日本を挑発し、反撃させ、国際社会で孤立化させようと狙う中国
バイデン政権は、トランプ政権以上に中国を標的にした強硬姿勢を見せているが、緊密な経済関係を維持する日本としては、どのように中国に対応するのか慎重に検討せざるをえないというのが現実であろう。
1989年にベルリンの壁が崩壊し、ソ連邦が解体されてから30年が経つ。資本主義が社会主義に勝ち、その盟主としてのアメリカの地位は盤石なものとなったと思われた。しかし、その後、中国が経済発展を遂げ、GDPでは今や日本を追い抜いてアメリカに次ぐ世界第2位に躍り出ている。
そして、その富を軍拡に注ぎ込み、軍事力でも急速に大国にのし上がってきている。従来から保有している核兵器に加え、海軍の強化に乗り出し、航空母艦など対外遠征能力の整備に努めている。世界の覇権を争うには、海軍力の拡張が不可欠であり、その戦略を着々と進めているのである。