3月7日、全国人民代表大会に合わせて記者会見を開いた王毅外相(写真:AP/アフロ)

 現在、北京で開催中の全国人民代表大会には、毎年恒例のハイライトが3つある。初日の李克強首相による「政府活動報告」と最終日の李首相の年に一度の記者会見。そして会期中にある王毅外相の、これまた年に一度の定例記者会見である。その王外相の記者会見が、3月7日の中国時間午後3時から、1時間41分にわたって開かれた。

習近平の忠実な代弁者

 王毅外相の記者会見が行われるのは今年が8回目で、私はそのすべてを、インターネット生中継で見てきた。毎年注目する理由の一つは、北京政界で「総書記の嘴(くちばし)」と呼ばれるほど、「習近平総書記が言いたいこと」を、忠実に発言するからである。王毅外相の習近平総書記に対する忠誠心たるや天下一品で、そうでなければ異例の2期10年も続けていられるはずがない。

 そのため王毅外相の発言には、「習近平総書記の指導のおかげで」といった接頭語がしばしばつく。今年はついに、語尾のニュアンスまで習総書記の口調のマネをしていた。直属の上司にあたる李克強首相のことは、たった1度しか言及しなかったが、「習近平」は11回も発言に登場した。ともかく、王毅外相の発言を聞くと、習近平総書記が何を言いたいか、どんな外交を執り行いたいかが一目瞭然なのである。

 そんなわけで、今年の王毅会見から一番感じられたことは、習近平政権の「開き直り」だった。

 世界で自国より唯一強いアメリカは、ジョー・バイデン政権が発足したばかりで、その具体的な外交政策は、いまだ見えてきていない。そんな中で、「アメリカがどうあろうとも、中国としてはこういう形で外交を進めていく」ということを、広く内外にアピールしたのだった。王毅外相は、「丑年に合ったパワーを示す」と言っていた。