「聴き音読」は初心者から上級者までに重要で役立つという(写真:funny face/shutterstock)「聴き音読」は初心者から上級者までに重要で役立つという(写真:funny face/shutterstock)

 英語は「世界の共通語だから重要だ」とよく言われる。実際、日本でも小学校から英語教育が始まっている。では、「世界の共通語」とは、具体的にどういうことなのだろうか。 そもそも、英語を共通語としてうまく使うには、どんな学び方があるのか。学校で習った英語を、もっと気軽に活かせる方法はあるのか。 英語を話す世界中の人々は、どのように英語を学び、使っているのか──。

 こうした疑問に答えるのが、ELF(共通語としての英語:English as a Lingua Franca=エルフ)という考え方である。これは、ヨーロッパで生まれた社会言語学の視点から、英語を「暗記するもの」ではなく「使うもの」としてとらえ直すアプローチだ。

 社会言語学者として大学で教える瀧野みゆき氏は、このELF発想の英語の学び方を提案している。従来の「正しさ」へのこだわりから解放され、「英語をすぐに使う」ための道を拓く具体的な学習法とは。

※瀧野みゆき氏の著書『使うための英語 ELF(世界の共通語)として学ぶ』を一部抜粋・編集しました。

 前回は、英語をELF、つまり世界の共通語として発想転換することで、英語をより現実的に活用できるようになることを紹介した。

 今回は、このELF発想の勉強法として、使いながら学ぶ考え方を紹介し、後半で初心者から上級者までに重要で役立つ英語の発音練習として「聴き音読」を解説する。これはELF発想を活かした使いながら学ぶ、簡単で効果的な方法である。

英語を使いながら学ぶ

 ELFは、異なる母語の人たちをつなぐために世界中で使われる英語だから、そのコミュニケーションの目的は特に限定しない。ただ、この記事では特に「仕事のための英語」に注目している。それは、国境や母語を超えて行われる英語のコミュニケーションの多くが、仕事に関連していることが多いからである。

 これは広義の「仕事」を意味し、利益を上げるビジネスに加え、研究者、公務員、非営利団体で働く人々も含む。国や文化を超えて、国際的な課題を共に解決するためのコミュニケーションは目的優先で、ELFの特徴がよくわかる。

 こうした世界中の英語ユーザーの現実から学ぶELF発想は、英語はこうあるべきだという「建前」ではなく、日々のコミュニケーションで英語を使うノンネイティブの「実践知」に学ぶ、ノンネイティブのための学び方とも言える。

 たとえば、「使いながら学ぶ」がその一例だ。