菅義偉首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 首都圏1都3県に出されていた緊急事態宣言が3月21日で解除される。18日の政府の新型コロナウイルス対策本部で決まった。

 本来ならば7日に解除される予定であったものを、わざわざ2週間延長させたところが、東京都の新規感染者数は下げ止まりに転じ、むしろ増加傾向を見せている。その最中での解除だ。

「3M」という用語がある。「無理」「無駄」「ムラ」の頭文字を取ったものだ。まさにこの2週間は新規感染者数に「ムラ」ができ、延長が「無駄」になっている。いや、そればかりか、ここへきての新型コロナウイルス感染防止対策は「3M」だらけだ。

時短要請や会食自粛だけではもう新規感染を減らせない

 緊急事態宣言解除にあたって、菅義偉人首相は18日の夜に記者会見を開いている。そこで宣言解除の理由をこう述べている。

「これまで、飲食店の時間短縮を中心に、ピンポイントで行った対策は、大きな成果を上げています」

「2週間宣言を延長し、病床の状況などを慎重に見極め、判断すると申し上げてきましたが、目安とした基準を安定して満たしており、本日、解除の判断をいたしました」

 ところが、その一方でこうも述べる。

「しかしながら、感染者数には横ばい、あるいは微増の傾向が見られ、人出が増加している地域もあることから、リバウンドが懸念されております。変異株の広がりにも警戒する必要があります。このため、宣言が解除される今が大事な時期であり、それぞれの地域の状況を踏まえ、国と自治体が一層協力しながら、しっかりと対策を続けてまいります」

 この発言にも「ムラ」がある。