目下、金融業界で注目されているリストがある。右には外資系金融機関や生保、JA系の信連、そして菅政権が再編を推し進める地銀の名が、左には億単位の金額が綴られている。

 このリストは、経営不振が報じられている不動産会社「ユニゾホールディングス」(以下=ユニゾHD)の取引金融機関とその融資額をまとめたものだ。

社債がジャンク債に

 元々、ユニゾHDは旧日本興業銀行(みずほ銀行)系の不動産会社で、レンタルオフィスやホテルが主力事業だ。2010年、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)副社長から天下り、社長に就任した小崎哲資氏が事業を拡大した。

 みずほ銀行OBによれば、

「みずほ銀行は、2000年から不良債権問題などで経営危機に陥っていました。その危機を1兆円増資というウルトラCで回避したのが、何を隠そう小崎さんだったのです。その手柄もあって次期トップと目されていたものの、頭取レースに敗れて銀行を去りました」

 小崎氏は、ホテル事業を中心に事業拡大策を打ち出して、社長就任の翌年にはユニゾ株を東証一部上場に導いている。

 順風満帆かに見えたユニゾHDだったが、2019年にホテル事業拡大を目論む大手旅行代理店HISから公開買い付け(TOB)を仕掛けられて防衛を余儀なくされてから、経営に変調を来すようになった。

 以降、米投資会社フォートレス・インベストメントなど複数の米投資ファンドを巻き込んだユニゾ株の争奪戦が勃発した。

 最終的には外資系ファンドと組んだ、国内初の従業員による買収(EBO)が昨年4月に国内で初成立、上場廃止となった。これを機に、“中興の祖”と呼ばれた小崎氏は社長を退任した。