(福島 香織:ジャーナリスト)
中国では毎年3月15日の「世界消費者権利デー」に合わせて、CCTV(中国中央テレビ)で「315晩会」と呼ばれる特別番組が放送される。消費者を騙す悪徳企業を名指しで批判して、消費者の不満の溜飲を下げるという、官民一体の消費者保護キャンペーンであると同時に一種の娯楽番組でもある。
毎年どこの企業がやり玉に挙げられるか、企業側は戦々恐々とし、外資企業が比較的狙われやすいので海外メディアも注目している。今年(2021年)は日産の「インフィニティ」やフォードの「フォーカス」などが、ギアボックスなどの不具合が顧客から訴えられていたのに顧客に口止めを命じたとか、前向きに対処しなかった、とかいう理由でバッシングされ、すでに日本の一部メディアでも報じられた。
勝手に来店者の顔を撮影して情報収集
だが、今年の315晩会を見て個人的に印象深かったのは、中国の顔識別システムの普及ぶりと、個人情報管理のずさんさだ。
個人情報を違法取得したり情報を漏洩させている企業として名指しされたのが、米国のユニットバスメーカーのコーラー、高級自動車メーカーの独BMW、ヘッドハンティング企業の智聯招聘、猟聘、検索エンジン企業の360捜索、UCブラウザなどだ。外資企業も中国企業もある。