中国伝統の漢服を着ている女性(写真:ZUMA Press/アフロ)

「国潮」、中国の伝統文化を現代に合わせてアレンジしたものが、中国の消費トレンドの一つになっていることを、以前の記事でご紹介しました。

「直播、国潮、奶茶銭…変わる中国の消費トレンド」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62974

「国潮」はさらに広がりを見せていて、「中国文化のルネサンス」と言えるほどになっています。このトレンドがどういうもので、現在どういうことが起きているか。今後中国を見ていくうえで欠かせない、国潮の広がりを具体例とともにご紹介します。

ゲームが「国潮」の起爆剤に

 中国では「外国的月亮比较园(外国の月は中国国内よりも丸く美しい)」という言葉があります。自国の伝統的なものよりも、国外のものの方が優れている、というような意味で、中国国内では舶来品や外国文化を高く評価する傾向が長く続いていました。中国が経済力を増してきた2000年代以降も、中国の伝統文化とはどこか距離を置く風潮がありました。

 2003年、チャイナドレスなどの比較的歴史の浅い衣装ではなく、本来の意味の伝統的な民族衣装(漢服)が中国国内のデザイナーの手によって再現されました(漢服復刻)。そのことが中国国内外のメディアに大きく取り上げられたのですが、それがニュースになること自体、中国の伝統文化が日常生活と離れたものであることを示しています。

2003年、「联合早报」紙で紹介された伝統衣装

 現代中国において伝統文化を再評価してそれを取り込む動き、「国潮」が本格化したのは、2010年代の後半からといえます。