海警局巡視船の厄介な体当たり戦法

 海警法は、漁船よりは、むしろ海上保安庁巡視船、海上自衛隊艦艇、そして米海軍艦艇などをターゲットにしている感が否めない。

 海警法第21条では、外国軍艦や外国公船(巡視船など)が中国の主権的海域で中国法に違反する場合には、海警局が取り締まる旨を定めている。また第22条では、外国船によって中国の主権や管轄権が侵害されている場合には、海警局はそれらの侵害を排除し危険を除去するために必要な武器使用を含む全ての措置を執ることができる、と規定してある。

 そのため、すぐさま機関砲や機銃などの武器を使用するわけではなく、中国海警局巡視船や中国海軍艦艇がこれまでも多用してきた「体当たり戦法」を外国の軍艦や巡視船に敢行する、と宣言していると読み取れるのである。

 艦艇構造の専門家によると、中国の大型巡視船や駆逐艦などには、明らかに「体当たり」を前提とした形状が認められるという。

 実際に、1万2000トン級(満載排水量は1万5000トン)の中国海警局超大型巡視船(東シナ海の「海警2901」、南シナ海の「海警3901」)が誕生した際に、中国当局は2万トン級の船舶への体当たりにも耐え、9000トン級の船舶との衝突では自艦は何のダメージも受けないように設計されている、と豪語していた。