「やりすぎ」だった冨田日本大使への抗議

 2020年3月、新興宗教団体「新天地イエス教会」でのクラスターによって韓国内でコロナが急拡散したことで、韓国人入国禁止措置を取った外国に対し、「自ら防疫能力のない国は入国禁止という粗悪な措置を取っている」と述べ、外国を蔑視する発言で物議を醸した。

 さらに韓国人入国を制限した日本政府に抗議するため冨田浩司駐韓日本大使を呼び出した対応も話題になった。通常なら外交部次官が対応するところ、長官直々に冨田大使を呼び出して抗議したが、頭を深く下げた冨田大使の前に強硬な姿勢で立っている康長官の写真は、意外にも韓国国民の間からも「やりすぎ」との批判を受けた。

 筆者の知り合いの外交部職員も「康長官は政治的な感覚が足りない。どの写真を見ても康長官の不快な表情がありありと表れていた。大使の呼び出しとは一種のパフォーマンスで、実際に行われる会話では柔軟な内容をやり取りすることが一般的なのだが、康長官にはその配慮が足りない」と心配していたほどだった。

昨年3月6日、日本の冨田浩司駐韓大使(左)を呼び出し、日本の水際対策に抗議する康京和外相。いずれも肩書は当時(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2020年8月には、ニュージーランド職員に対する韓国人外交官のセクハラ事件が起きた。韓国国会では外交部を代表して康長官が被害者側に謝罪すべきだという声が上がったが、康長官は「韓国の国格のために謝罪できない」と拒否した。昨年の秋夕連休には、全国民に「移動自粛令」が下されていたが、康長官の夫は堂々とヨット購入のために米国に旅立っていた。また国民の間に不動産格差が広がっている状況を受け、政権幹部には「1住宅指針」が下されて以降も、康長官は保有していた3軒の住宅のうち1軒だけを売り払い、依然として2軒の住宅を保有するなど、外交部長官としての資質の問題ではなく、「空気が読めない人物」という印象まで与えていた。